The Linux Installation HOWTO 日本語版 4.9-J3 (04/02/1998) Linux のインストールに関する HOWTO (原文: The Linux Installation HOWTO, v4.9 dated 22 Oct 1997) Copyright(C) 1996 by Erick S. Raymond This HOWTO is translated to Japanese by Hiroyuki Tadokoro and Yasuyuki Suzuki 著者 Erick S. Raymond (esr@thyrsus.com) 田所 裕之 (tadokoro@ask.or.jp) 鈴木@HP (yas@kobe.hp.com) 訳 和訳履: 和訳初版 v1.8(06/02/94) - v2.3(04/23/84) の和訳 和訳第2版 v2.4(07/08/94) - v3.0(06/30/94) に追従 和訳第3版 v3.4(09/12/94) - v3.1(08/08/94) に追従 和訳第4版 v4.1(12/27/94) - v3.2(10/27/94) に追従 和訳第5版 v5.1(01/13/95) - v3.3(12/11/94) に追従 以上、鈴木@HP訳による ______________________________ 和訳第4.5版 v4.5-J1(06/17/97) - v4.5(05/15/97) の和訳 (ドラフト) この版より田所が担当しております 和訳第4.6版 v4.6-J1(09/02/97) - v4.6(08/07/97) の和訳 (ドラフト) 和訳第4.8版 v4.8-J1(09/30/97) - v4.8(09/22/97) の和訳(ドラフト) 和訳第4.9版 v4.9-J1(02/21/98) - v4.9(11/19/97) の和訳(ドラフト) 和訳第4.9版 v4.9-J2(03/05/98) - v4.9(11/19/97) の和訳(ドラフト) 和訳第4.9版 v4.9-J3(03/05/98) - v4.9(11/19/97) の和訳(公開版) この版より、鈴木@HP (yas@kobe.hp.com) が多忙につき、田所 裕之に交代しました。 尚、原文である The Linux Installation HOWTO の著者も Mr. Matt D. Welsh より Mr. Erick S. Raymond に交代しております。 本文 ”8.1 制限事項”にあるように”バージョン番号および日付を変更してはならない”とありますので、旧版の”和訳第5版 v5.1(01/13/95) - v3.3(12/11/94) に追従”から”和訳第4.6版 v4.6-J1(09/02/97) - v4.6(08/07/97) の和訳”日本語版のバージョン番号を "4.6-J1" に変更させていただきます。原文も v4.6 は幾つかあり、日付で区別されています。それ故、日本語版も原文の日付およびマイナーバージョン番号(J以下の番号)で区別しております。くれぐれも旧版と混同なきよう、ご注意願います。 この文書は Linux をどのように入手し、それをどのようにインストールするかについて記述した文書です。この文書は新たなユーザーが Linuxを始めるに当たってまず最初に読むべき文書です。 1. はじめに 1.1 この文書の目的 Linux は自由に再配布可能な、それ程高価ではないパーソナルマシンに対する Unix の実装です。( Linux は386マシン上で開発され、現在では486, 586, Pentium, PowerPC, Sun Sparc そして DEC Alpha に移植されています。)Linux は X Windows、Emacs、(SLIP を含む)TCP/IP ネットワーク、そして多くのアプリケーションといった幅広いソフトウェアをサポートしています。 この文書はあなたが既に Linux について見聞きした事があり、今まさにそこに座ってインストールしたいのだと仮定しています。この文書は Intel ベースの版に(それが最もポピュラーなので)焦点を当てていますが、PowerPC や Sparc そして Alpha 等にもこの助言の多くは応用できると思います。 1.2 他の情報源 あなたが Linux の初心者であるなら、システムについてのいくつかの基本的な情報源があります。これらを見つける最良の場所は Linux Documentation project のホームページ <http://sunsite.unc.edu/LDP/linux.html >です。この文書の最新版は <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/installation-HOWTO.html> で見つけられます。 Linux INFO-SHEET <htt://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/INFO-SHEET.html> やLinux META-FAQ <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/META-FAQ> にある Linux に関する一般的な情報を眺める事によっても始められるでしょう。Linux Frequently Asked Question(FAQ) の文書は、 Linux に関した多くの一般的な質問(もちろん答えも)を含んでいます。そしてそれは新しいユーザーがまず読むべき文書でもあります。 一般的なトラブルに対しての援助は USENET のニュースグルー プ comp.os.linux.help や comp.os.linux.announce で見つけられでしょう。 訳注:日本語のニュースグループとしては、fj.os.linux があります。メーリングリストとしては、Linux-users-ML があります。 Linux Documentation Project (LDP) は Linux のマニュアルや文書等を執筆しています。これらの文書は自由にネット上で配布してかまいません。そしてLDP のホームページで入手可能です。 "Linux Installation and Getting Started" という本は Linux を入手しインストールするための完全なガイドです。そればかりか、インストールされた Linux をどうやって使うのかを含んでいます。これには、システムを使用したり動作させるための完全な指導書が含まれており、この文書に含まれている以上に詳しい情報を含んでいます。LDPホームページから、このガイドを眺めたり、コピーをダウンロードしたりできます。 訳注:"Linux Installation and Getting Started"の古い訳が JF にはあります。またこの文書に加筆および注を加えた物が、株式会社 オライリー・ジャパンより "RUNNING LINUX 導入からネットワーク構築まで ISBN4-900900-00-1 6100円(税抜き)" として出版されています。 1.3 この文書の新しい版 The Linux Installation HOWTO の新しい版は定期的に comp.os.linux と news.answers<news:answers> に掲載されます。その他、様々なLDPホームページを含 むLinux WWW および FT Pサイトにアップロードされます。 この文書の最新版は WWW 上の <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/Installation-HOWTO.html> で見る事ができます。 1.5 フィードバックと訂正 この文書に対する質問やコメントがあれば、お気軽に Eric S. Raymond (esr@thyrsus.com) までメールを下さい。どんな提案でも批判でも大歓迎です。この文書で誤りが見つかったのなら、著者まで連絡して欲しい。次の版で訂正するから。お願いします。 この日本語版に対する質問、誤字等の連絡がありましたら、田所 裕之 (tadokoro@ask.or.jp) までお願い致します。内容に関する質問は原著者に質問して下さい。 2. 最近の変更点 ・インストール前のチェックリストを加えた。 ・LILO および BIOS に関して起こりえる問題において注意すべき事をパーティションの章に加えた。 ・他の HOWTO や Mini-HOWTO に対する参照を加えた。 3. 始める前に まず Linux のインストールを始める前に、そのマシンで Linux を動作させられるのかを確認し、そしてインストールする Linux を選択しなくてはならない。 3.1 必要はハードウェア Linuxを走らせるのにどのようなシステムが必要か? これは大変良い質問です。システムに必要なハードウェアは刻々と変わっています。Linux Hardware-HOWTO<http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/Hardware-HOWTO> は Linuxによってサポートされているハードウェアの完全な(十分あるいは足りない?)リストがあります。Linux INFO-SHEET <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/INFO-SHEET.html> にも別のリストがあります。 訳注: 動作実績のあるハードウェアについては、日本語の一覧表があります。はね ひでやさんのホームページ <http://www.flatout.org/~wing/> をチェックして下さい。新しいハードウェアを購入される場合は、そのリストに載っているものを購入されると無用なトラブルが避けられると思います、ハイ。 Intel 版に関して、以下のようなハードウェアの設定が必要です。 80386, 80486, PentiumまたはP-6が搭載されたISA, EISA, VERSA Local BUS または PCI のシステムなら何でも良いでしょう。IBM PS/2 マシンに搭載されている MicroChannel(MCA) アーキテクチャーを最新の開発版 (2.1.x) カーネルはサポートしている。しかしまだ熟成レベルに達していない。80386SX から P-6 に至るどの CPU でも動作します。浮動小数点コプロセッサーは必要ではありませんが、あるのに越したことありません。 訳注: 国民機 NEC の98シリーズでは動作しないのですか?という質問を良く受けます。残念ながら現時点では、98シリーズでは動作しません。しかし失望することはありません。京大マイコンクラブ (KMC) の人達が移植作業を行なっています。今の所一般公開はされていないみたいですが、かなり期待できそうです。早くそうなると良いですね。NXシリーズについては現時点では多少?です。しかしほぼ問題無く動作させる事が出来るようです。詳しいレポートを期待しましょう。今すぐどうしても98で UNIX をと言う人には、”自分で頑張って最新版を移植するか、移植のテスターをやる”又は、実績のある Free BSD をお薦めします。ただ現在では、10万円以下で Pentium-166MHz を搭載した DOS/V マシンが購入できるので、それに Linux を載せるのがベストだと思うのですが。 また、新規に購入されるのでしたら、アメリカの一流メーカーの製品は避けた方が無難かもしれません。IBM は、後で記述されているように、起動時に指定が必要ですし、売り物の DSP を使用したモデムやサウンド機能は使用できません。Conpaq は最大のクローンメーカーという自負もあってか、独自の拡張も多く動作させるに苦労したという話も聞きます。”Linux が大メーカ品をサポートしないなんて”という苦情も聞きますが、基本的には仕様を公開しない以上はサポートできないのです。ジャンパー線の設定も公開していないメーカーもありますから。もちろん大メーカー品はユーザー数も多いので、当然情報も多くなります。最終的には動作しましたと言う報告も多いのですが初心者は避けた方が無難でしょう。もちろん”手近に転がっていた”のなら大いに利用すべきです。486+8MB で十分なのですから。ただし、このような使用方法は、メーカーサポートの対象外です。その点だけは自己責任で Linux をインストールして下さい。 最低限4メガバイトのメモリーが必要。技術的にはたった2メガでも Linux は動作しますが、ほとんどのインストーラおよびソフトウェアは4メガバイトを要求します。もっと多くのメモリーがあればもう幸せ。X-Windows を使用するつもりなら8または16メガバイトをお薦めします。 もちろんハードディスクと AT 標準のディスクコントローラーが必要です。ほとんどの MFM, RLL, IDE のハードディスクとコントローラーなら動作するはずです。多くの SCSI ハードディスクとコントローラーも同様にサポートされています。Linux SCSI-HOWTO が SCSI に関するより多くの情報を持っています。Linux を動作させるのにばらばらの状態から組み上げるのなら、SCSI にいくらか余計のお金をかけることにより、更なる性能と信頼性を得る事ができます。 3.5インチフロッピードライブが必要。Linux は5.25インチフロッピーもサポートしていますが、必要なディスクイメージをその中に押し込む事ができません。(裸の Linux は実際のところ、たった一つのフロッピードライブでも動作します。しかしそんな物はインストールかトラブルの原因探し位にしか有用ではありません。) MDA, Hercules, CGA, EGA, VGA そして Super VGA ビデオカードとモニターも必要です。一般的に言って MS-DOS が動作するようなビデオカードやモニターなら大丈夫。しかし、X Windows を動作させようと思うなら、ビデオ関係のハードウェアをサポートする別の規則が存在する。Linux XFree86-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/XFree86-HOWTO.html> が X を動作させるのに必要な情報が記載されています。 訳注: MDA - monochrome display adaptor モノクロです。緑やオレンジのモニターは、当時のカラーモニターより見易くて、秘書さん達に人気がありました。私も愛用していました。 CGA - Color Graphic Adaptor Hercules - IBM の純正の CGA アダプタが高価だったので、互換のアダプタとして人気があった。 EGA - Enhanced Graphic Adaptor VGA - 有名ですね。現在の?標準です。迷ったらこれを指定しておけば問題無し。 Super VGA - 一般に800x600どっと以上のグラフィックの総称です。VGA 以上の解像度を持つのは皆この範疇に入ります。ただかつて IBM-8514 という規格があったと思うのですが。消えちゃったのですかね。 CD-ROMドライブも必要。ATAPI、SCSI そして本当の IDE ならちゃんと問題無く動くでしょう。(だけど注意が必要。安物の IDE とうたわれている物の中には本当の IDE じゃない物も混じっています。)専用のインターフェースカードを使用する CD-ROM ドライブはフロッピーディスクより起動させようとしているインストール用のカーネルがそれを見つけられない事があるかもしれません。そしてアクセスする事ができない CD-ROM は途中で止まってしまう現象となります。パラレルポートに接続するタイプの CD-ROM も全く使用できない。疑うなら Linux CD-ROM HOWTO<http://sunsite.unc.edu/HOWTO/CD-ROM-HOWTO.html> にサポートしているハードウェアのリストと詳細があります。 そう、いわゆる Plug'n'Play(プラグ アンド プレイ)と呼ばれるジャンパーで設定する必要のないカードのたぐいは問題となる可能性があります。この機能をサポートするために活発な開発が行われています。しかし2.0.25版のカーネルではまだ完成していません。幸運にも、これらはサウンドやイーサネットカードにのみ起こりうる問題です。 Amiga、Atari そして VME バスマシン等を含む Motorola 68Kプロセッサを使用しているマシンで Linux を動作させようというのなら、最小限必要な資源やポートの状況の情報が載っている Linux/m68k FAQ <http://www.clark.net/pub/lawrence/linux/faq/faq.htm> を見て下さい。そのFAQによれば、m68k 版の Linux は、ほぼ Intel 版と同様の安定性と有効性を持つに至ったとあります。 3.2 ディスクの使用量と他の OS との共存 ハードディスクに Linux を入れる空き領域が必要です。その量はどの程度のソフトウェアをインストールするかによります。たいていの場合、おおよそ200から500メガバイトを必要とします。この中には、ソフトウェア、スワップ領域(仮想 RAM として使用される)そしてユーザー用の空き領域等々を含んでいます。 80メガバイト或いはそれ以下で( Linux の配布物がもっと小さかった頃は一般的だったが)、最小限の Linux システムを動作させる事も出来るし、そして、全ての Linux のソフトウェアを入れた500メガバイトを優に越える物もある。この量の違いは主に使用する人がどの程度の量のソフトウェアと空き容量を必要としているかによっています。後でもう少し詳しく話しましょう。 Linux は MS-DOS、Microsoft Windows 或いは OS/2 といった他のオペーレーティングシステムとハードディスク上で共存できます。(実際には Linux から MS-DOS ファイルにアクセスしたり、MS-DOS プログラムを実行する事も出来ます。)言い換えれば、ハードディスクに Linux 用のパーティションを作成する時、MS-DOS や OS/2 はそれら自身用のパーティションの中で生き残れます。そして Linux もそれ自身の中に存在します。後にそのような "dual-boot"(2重ブート)システムについての詳細を述べます。 Linuxを動作させるのに、MS-DOS や OS/2 その他のオペーレーティングシステムを走らせる必要はありません。Linux は完全に異なった、それのみで動作するオペレーティング システムです。そしてインストールや動作を他の OS に頼る事は無りません。 まとめると、Linux の最小の構成は現在市販されている、たいていの MS-DOS や Windows 3.1 のシステムに要求されるものとほぼ同等です。(それは Windows 95 に最低限要求される以下です。)最低限4メガバイトのRAMを積んだ386や486マシンがあれば、Linux は快適に動作します。Linux は巨大なディスク領域やメモリーそして CPU パワーを要求しません。この HOWTO を最初に書いた Matt Welsh は4メガバイトのRAMを積んだ 386/16MHz(入手できるもっとも遅いマシン)上で Linux を動作させ使用していたし、とても幸せだった。もっと多くのことをさせたいのなら、より多くのメモリー(より早いCPU)が必要になるでしょう。我々の経験では、16メガバイトのメモリーを積んだ486マシンはいくつかの高価なワークステーションに勝っています。 3.3 Linuxを選択する Linux をインストールする前に、入手可能な様々な Linux の配布パッケージの中の一つから選択する必要があります。単一の Linux ソフトウェアの標準リリース版はありませんが、それに準じるたくさんのリリースがあります。各々のリリースにはそれ独自の文書とインストール説明書があります。 Linux の配布パッケージは匿名の (anonymous)FTP 経由、或いは通信販売でフロッピーディスク、テープ、そして CD-ROM を入手する2つの方法があります。Linux Distribution HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/Distribution-HOWTO.html> が FTP や通信販売で入手できる多くの Linux 配布パッケージについての記述があります。 有名でなかった昔は、そう、この HOWTO が最初に書かれた頃 (1992-93)、インターネットや BBS から DOS マシンへと延々とダウンロードし、そのダウンロードしたものを何枚ものフロッピーディスクへと苦労して変換するといった回りくどい方法で、多くの人々は Linux を手に入れて来ました。これらのディスクのうちの一つが起動用で、残りの数十がインストール用であった。運があれば(そしてディスクにエラーがなければ)、数時間後にインストール作業が終了し、Linux が動作する。あるいはそうじゃないかも。 このやり方は現在でも可能(幾つかある配布形式の中から好きなものを <http://sunsite.unc.edu/pub/Linux/distributions/INDEX.html> からダウンロードすることができる)であるが、現在ではそれ程骨の折れないやり方があります。最も簡単なやり方は、Red Hat, Craftworks, Linux Pro や WGS といったCD-ROMで配布している質の高い商用の Linux の配布パッケージの一つを買う事である。これらはたいてい近くの書店やコンピューターショップで50ドル以下で手に入れられます。そして何時間ものいらいらから逃れられます。 InfoMagic の Linux Developer's Resource set のような名作選 CD-ROM を購入するという手もあります。これらはたいていいくつかの Linux の配布形式と sunsite や tsx-11 といった主要な Linux のアーカイブサイトの最新ダンプを含んでいます。 残りのこの HOWTO の中では、名作集 CD-ROM や印刷されたマニュアルを含んでないような底辺に位置するような市販のLinux パッケージからインストールするのに必要なステップに焦点を当てようと思う。もしそのLinuxに紙のマニュアルが付いていたとしても、この HOWTO のいくらかは有用な基礎情報となるでしょう。しかし詳細なインストールの方法については、そのマニュアルを参照して欲しい。 4. インストールの概要 4.1 基本的なインストールの手順 Linux のインストールの基本的なアウトラインは非常に単純です。 1. インストールするハードウェアの設定情報を収集する。 2. インストールするフロッピーを作製する。 3. 2重ブート(DOS または Windows または両者と Linux の) システムを動作させたいなら、Linux を入れる空き領域を作成するためハードディスクを再配置(再パーティション)する。 4. CD-ROM にアクセスできるように、フロッピーディスクからインストール用のミニLinux を立ち上げる。 5. Linux ファイルシステムを準備する。(前もってパーティションテーブルを編集していないのなら、この段階で行う。) 6. CD-ROMより基本的な Linux システムをインストールする。 7. ハードディスクより Linux を立ち上げる。 8. CD-ROMより他のパッケージをインストールする(オプション)。 4.2 インストールキットの基本的部分 ここにインストール可能な Linux 配布の基本的な部分を示します。 1. README と FAQ ファイル。これらのファイルは CD-ROM の最上階のディレクトリに通常は置かれていて、Linux のハードディスクがマウントされていれば読むことができます。(どのようなフォーマットで CD-ROM が作成されているかによるが、DOS や Windows からも見ることができます。)最新の更新や変更情報に気付くためにも、それらにアクセス可能となった時点で直ちに目を通すことは良い事でしょう。 2. たくさんのブートディスクイメージ。(サブディレクトリにしばしば置いてあります。)ブートディスク(起動ディスク)を作成するために、これらのうちの一つをフロッピーディスクに書き込みます。システムのハードウェアの種類に従って上記のブートディスクイメージを選択します。 ここでの問題点は、いくつかのハードウェアのドライバはお互いに奇妙に衝突する事です。システム上のハードウェアの問題点のデバッグをしようとする代わりに、使用するドライバのみの入っている起動フロッピーを使用するほうが簡単です。(これによってカーネルが小さくなるという素晴らしい副作用が生まれます。) ・ルート (root) ディスク イメージ(恐らく2枚です)。インストールディスクを作成するためにフロッピーへと書き込むファイルです。今日ルートディスク(1または2枚)は通常ハードウェアに依存しません。つまりEGA又はよりましなカラースクリーンがあると仮定しています。 ・レスキューディスク イメージ。ハードディスクのカーネルやブートブロックの大災害から復旧するための基本的なカーネルとツールを含んでいます。 ・RAWRITE.EXE。(ブートやルートディスク イメージといった)ファイルの内容をフォーマットにかまわず直接フロッピーに書き込む MS-DOS のプログラム。 MS-DOS システムからブートとルートフロッピーを作製するつもりなら、RAWRITE.EXE のみが必要です。代りにフロッピードライブを備えた UNIX ワークステーションにアクセスできるのなら、'dd' コマンドまたはベンダーが作成したスクリプトを使用してそれからフロッピーを作製できます。援助が必要なら、マニュアルページ(man page) の dd(1 )を見るか、近くの UNIX の指導者に聞いて下さい。 ・CD-ROM。ブートディスクの目的は、ルートやインストールディスクの内容をマシンにロードする事です。言い換えれば、ハードディスクの準備を行い、CD-ROM の内容をコピーする事です。 5. インストール作業の詳細 5.1. インスートール作業を行う前の準備 Linux は MS-DOS、Windows や Windows NT よりも PC のハードウェアをより有効に利用します。その結果ハードウェアの設定ミスに対する許容度はより低くなっています。始める前に2ー3のやっておくべき事があります。この種の問題によってインストール作業が中断される可能性を学んでおく事が必要です。 まず最初に、ハードウェア、マザーボード、ビデオカード、モニター、モデムその他のマニュアルを集めること。そしてそれらを手の届く所に置いておくことです。 次に、ハードウェアの設定に関する詳細な情報を集めること。MS-DOS 5.0 以上が動作するなら、最も簡単な方法は Microsoft diagnostic utility(マイクロソフト 診断ユーティリティ)msd.exe を使用して結果(メモリー常駐プログラム、メモリーマップ、環境変数そして OS のバージョンに関する情報は除外出来る)を印刷する事です。これらの方法を通して、ビデオカードとマウスのタイプの情報を集める事が出来ます。これらの情報は、後に X を設定する際の手助けになるでしょう。 三番目に、Linux のインストールの作業中に回復不能のロック状態になる可能性のあるハードウェアの設定上の問題点をチェックすること。 ・ディスクドライブの master/slave ジャンパーの設定が間違っていても、IDE ハードディスクと CD-ROM を使用している DOS や Windows システムが正常に動作している可能性があります。Linux はこれではだめです。疑いがあるのなら、master-slave のジャンパー線のチェックをして下さい。 ・ペリフェラル(周辺)ハードウェアがジャンパー線の設定か不揮発性メモリーの何れも使用していないのなら、立ち上げ時に MS-DOS ユーティリティを介して起動時の初期化を要求するかもしれません。そしてこの方法は、Linux では容易ではありません。CD-ROM、サウンドカード、イーサネットカードそして低級なテープドライブはこのようなトラブルが起こる可能性があります。もしそうなら、ブートプロンプトに引数を渡す事によって動作させる事が可能かもしれません。詳しい情報については Linux Boot Prompt HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/BootPrompt-HOWTO.html> を見て下さい。 ・ある種のオペレーティングシステムではバスマウスと他のデバイスが同じ IRQを 共有できます。Linux はこれをサポートしていません。実際の所、試してみるとマシンはロック(停止)してしまうでしょう。バスマウスを使用したいのなら、Linux Bus Mouse HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/Busmouse-HOWTO.html> を参照して下さい。 もし可能なら、非常の際に電話できる経験のある Linux ユーザーの電話番号を聞いておくこと。十中八九、その必要は無いでしょう。しかし知っているに越したことは無いでしょう。 インストールするのにかかる時間は、飾り気の無いシステムを立ち上げるのに30分。全ての Linux の操作が出来るようになるまで1時間。2重ブートシステムにするのに最大で3時間。(ちゃんと動作しなかったり、ハングアップした場合、もっとかかるでしょう。) 5.2. ブートとルートフロッピーの作成 対話的な方法でブート、ルートそしてレスキューディスクを作製するインストール援助システムが Linux CD-ROM に付いているかもしれません。これらは MS-DOS のインストールプログラム(RedHat の redhat.exe プログラムのような)あるいは Unix のスクリプトまたはその両者でしょう。 そのようなプログラムがあり使用可能なら、単に情報としてこの章の残りを読んで下さい。そして実際のインストール作業を行うプログラムを走らせて下さい。そのプログラムの著者はその特定の配布について私より確かに詳しいし、エラーの起こり易い手入力のステップを避けることができるでしょう。 ブートやルートディスクについてのより詳しい情報は、Linux Bootdisk HOWTO<http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/Bootdisk-HOWTO.html> を参照して下さい。 まず最初にすることは、ハードウェアに合うブートディスクのイメージを選ぶ事です。これを手でやらねばならない時は、(a) CD-ROM 上のブートディスクイメージは正しいものを選ぶのを手助けするような名前が付けられているか、(b)それぞれのイメージの説明が含まれているインデックスファイルが傍にあるはずです。 次に、選択したブートディスクイメージからフロッピーを作成します。そしてルートとレスキューディスクをもです。MS-DOS プログラムの RAWRITE.EXE がこれを担っています。 次に、2または3枚の MS-DOS でフォーマットされた高密度(high-density)フロッピーディスクを用意して下さい。(これらは同じタイプでなければなりません。ブートフロッピードライブが3.5インチなら、これらのフロッピーは高密度3.5インチのディスクでなくてはならない。)ブートとルートディスクイメージをフロッピーに書き出すには、RAWRITE.EXE を使用して下さい。 訳注:前述の通り、1.2メガバイトでは完全に最新の起動ディスクは作成出来ません。従って3.5インチ、1.44メガバイトのディスクが必要です。機能限定版なら、5.25インチでも可能です。しかし、3.5インチで1.2メガバイトフォーマットのフロッピーは使用できません。 引数を付けずに起動させます。例えばこのように C:\>RAWRITE プロンプト(指示)に従ってフロッピーに書きだすファイルに名前と、どこへ書き出すか(例えば A:)に答えて下さい。RAWRITE は直接フロッピーにファイルをブロック毎に書き出します。そしてもちろんルートディスクイメージ(例えば COLOR14 4)にも RAWRITE を使用して下さい。これらの処理が終わったのなら、2枚のフロッピーが完成したはずです。一つはブートディスクで他の一つはルートディスクです。注意、これらの2枚のフロッピーはもはや MS-DOS では読めません。(これらはある意味で"Linux フォーマット"のフロッピーです。) Unix システム上の dd(1) コマンドも同様のことを行うのに使用できます。(これを行うには、もちろん、フロッピードライブの付いた Unix のワークステーションが必要です。)例えばデバイス /dev/rfd0 にフロッピードライブの付いた Sun ワークステーションでは、このようにコマンドが使用できます。 $ dd if=bare of =/dev/rfd0 obs=18k あるワークステーション(Sun の様な)では、出力の為の適切なブロック・サイズの引数('obs' がそうだ)を与えなくてはなりません。或いはこれは失敗するかもしれません。問題が生じたなら、dd(1) の man page(マニュアルページ)が為になるでしょう。 新品のエラーの無いフロッピーを使用することを忘れないで下さい。このフロッピーはバッドブロック(不良セクター)があってはなりません。 注意。Linux をインストールする為に Linux や MS-DOS を走らせる必要はありません。しかし、Linux や MS-DOS が動作するということは、CD-ROM からブートやルートフロッピーを作製する事がより容易に行えます。マシン上に動作する OS が無い場合、フロッピーを作製する為のみに、どこかそこいらの人が持っている Linux や MS-DOS を使用することが出来ます。そしてそのフロッピーからインストール出来ます。 5.3 DOS/Windows ドライブの再パーティション 使用されていたシステムのほとんどは、ハードディスクに MS-DOS や OS/2 等用のパーティションが取られています。Linux 用のスペースを作る為にこれれのパーティションの大きさを変更する必要があります。2重ブートシステムを使用するつもりなら、以下のミニ HOWTO を読むことを強く薦めます。それらには異なった2重ブートの設定について記述されています。 ・The Linux+Dos+Win95 mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Linux+DOS+Win95> ・The Linux+OS2+DOS mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Linux+OS2+DOS> ・The DOS-Win95-OS2-Linux mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Linux+DOS+Win95+OS2> ・The Linux+Win95 mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Linux+Win95> ・The Linux+WinNT mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Linux+WinNT> これらの文書が直接システムに当てはまらないとしても、これらに含まれている内容は理解するのを助けるでしょう。 註:ある種の Linux システムは MS-DOS パーティションのディレクトリ内へ直接インストールします。(これは”MS-DOS パーティションからインストールする”のとは異なっています。)その代わりに、”UMSDOS ファイルシステム”を使用します。それは MS-DOS パーティションのディレクトリを Linux のファイルシステムとして処理します。この方法ではハードドライブを再パーティションしなくても大丈夫です。 使用するドライブが既に4個のパーティションを持っているか、再パーティションが利益よりトラブルとなる可能性が高い時のみ、私はこの方法を使用する事を勧めます。(この方法は、ファイル名の変換する為のオーバーヘッドが生じるので、 Linux が遅くなる。)あるいは再パーティションする前に Linux を試してみたい時には、これは良い方法です。しかしほとんどの場合ここに記述された方法で再パーティションすべきでしょう。UMSDOS を使用するつもりなら、自己の責任で行うこと。詳細についてはここでは述べません。ここから先、UMSDOS を使用せず、再パーティションをするものと仮定して話を進めます。 パーティションは、特定のオペレーティングシステムが使用する為に確保してあるハードドライブの区画にすぎません。もし MS-DOS がインストールされているだけなら、ハードディスクは恐らくたった一つのパーティション(全体が MS-DOS の為に)を持っているだけでしょう。しかし Linux を使用するには、一つのパーティションを MS-DOS 用に、そして一つ(またはそれ以上)を Linux 用にドライブを再パーティションする必要があります。 パーティションは3つのフレーバー、primary(基本)、extended(拡張)そしてlogical(論理)からなる。手短かに言って、primaryはドライブ上にある4つのメインパーティションの一つです。しかし、ドライブ当たり4つを越えるパーティションを持ちたいのなら、拡張パーティションを作成する必要があります。その中に、多数の論理パーティションを含む事ができる。拡張パーティションには直接データを貯えられません。それは単に論理パーティションの入れ物に過ぎません。データは primary か論理パーティションのみに貯える事ができます。 言い換えれば、多くの人は primary パーティションのみを使用しています。しかし、一つのドライブに4つを越えるパーティションが必要な場合、拡張パーティションを作成する必要があります。そして論理パーティションが拡張パーティションの最上部に作成されます。そして、ドライブ当たり5つ以上のパーティションを持つことができます。 注意。(MS-DOS で D: として知られる)2番目のドライブ上に簡単に Linux をインストールできます。Linuxのパーティションを作成する時に、適切なデバイス名を単に指定するだけで良い。以下に詳細を記述します。 ドライブの再パーティションに話を戻しましょう。パーティションの大きさを変更する時の問題点は、これらのパーティションに含まれているデータを消すこと無しに(簡単に)これを行う方法が無いということです。それ故、再パーティションを行う前に、システム全体のバックアップを行うことが必要です。パーティションの大きさを変更するには、単にパーティションを削除して、より小さい大きさので再度作成することです。 注記:FIPS と呼ばれる MS-DOS の為の非破壊的なディスクの再パーティションプログラムがあります。<http://sunsite.unc.edu/pub/Linux/system/Install> を見てくれ。FIPS とディスク最適化ツール(Norton Speed Diskの様な)そして多少の幸運があれば、その上に載っているデータを壊すこと無しに、MS-DOS パーティションのサイズを変更できます。それでも尚、これを試す前にフル・バックアップを取る事を強く勧めます。 しかし FIPS を使用しないで、昔ながらのパーティションを変更する方法は、FDISK プログラムを用いることです。例えば、MS-DOS に使用されている80メガバイトのハードディスクがあるとする。半分ずつ、40メガを MS-DOS にそして40メガを Linux に分割したいとます。これを行う為には、MS-DOS で FDISK を走らせて80メガバイトの MS-DOS パーティションを削除し、そこに40メガの MS-DOS パーティションを再度作成します。そしてその新しいパーティションをフォーマットしバックアップから MS-DOS ソフトウェアを再インストール出来ます。ドライブ上の40メガバイトは空のまま残っているので、後にドライブ上の未使用領域に Linux パーティションを作成出来ます。 手短に言って、FDISK を用いた MS-DOS のサイズ変更は以下のようにすれば良いでしょう 。 1. システムの完全なバックアップを作成する。 2. FORMAT /S A: のようなコマンドを使用して、MS-DOS の起動可能なフロッピーを作成する。 3. FDISK.EXE と FORMAT.COM のファイルだけでなく、必要な他のユーティリティ(例えばバックアップからシステムを戻すユーティリティ)をこのフロッピーにコピーする。 4. MS-DOS システムフロッピーを起動させる。 5. FDISK を走らせ、変更したいドライブ(例えば C: とか D:)を指定する。 6. FDISK メニューオプションを使用して、サイズの変更をしたいパーティションを削除する。これは影響のあるパーティション上の全てのデータを破壊する。 7. FDISKのメニューオプションを用いて、より小さいサイズでこれらのパーティションを再度作成する。 8. FDISK を終了し、FORMAT コマンドで新しいパーティションを再度フォーマットする。 9. バックアップから元のファイルを戻す。 注意。MS-DOS の FDISK は”論理 DOS ドライブ”を作成するオプションを提供しています。論理 DOS ドライブは、まさにハードディスク上の論理パーティションです。論理パーティションに Linux をインストール出来ますが、MS-DOS の fdisk を用いて論理 DOS ドライブを作成したいとは思わないでしょう。そう、現在論理DOSドライブを使用していて Linux をその中にインストールしたいなら、MS-DOS の FDISK で論理ドライブを削除し、そして(後に)その場所に Linux 用の論理パーティションを作成するべきです。 OS/2 や他のオペレーティングシステムのための再パーティションを行う為に使用されているメカニズムはこれと似ています。詳細については、これらのオペレーティングシステムに関する文書を見て下さい。 5.4 Linux 用のパーティションを作成する。 ドライブの再パーティションの後、Linux 用のパーティションの作成が必要です。どうするのかを述べる前に、Linux の下でのパーティションとファイルシステムについて話しましょう。 5.4.1 パーティションの基礎 Linux には Linuxのカーネルとソフトウェアを入れるルートファイルシステムの為のパーティションが最低一つ必要です。 Linux 用にフォーマットされたパーティションとしてのファイルシステムを考えてみよう。ファイルシステムはファイルを保持する為に使用される。それぞれのシステムは、最低限ルート (root) ファイルシステムを持たねばならなりません。しかし多くのユーザーは複数のファイルシステム(ディレクトリーツリーの主要な部分に一つずつ)を使用したがる。例えば、/usr ディレクトリの下に全てのファイルを持たせる為に、別のファイルシステムを作る事を望むかもしれない。(Unix システムでは前向きのスラッシュ"/"をディレクトリの境界として使用する。しかし MS-DOS ではバックスラッシュ(又は円記号"\")である。)この場合ルートファイルシステムと /usr ファイルシステムの両者を持つこととなります。それぞれのファイルシステムはそれ自身のパーティションを要求します。それ故、root と /usr ファイルシステムの両者を使用するなら、2つの Linux のパーティションを作成する必要があります。 加えて、ほとんどのユーザーはスワップ(swap)パーティションを作成します。それは仮想 RAM(virtual RAM) として使用されます。マシンに4メガバイトのメモリーありそして10メガバイトのスワップパーティションをがあるとすると、Linux は14メガバイトの仮想メモリーがあるように動作します。 スワップ領域を使用する時、システム上で同時により多くのアプリケーションを動作するように、Linux は使用していないメモリーのページをディスクに追い出す。しかし、スワップはしばしば遅いので、本物の物理RAMの代わりとはならなりません。しかし十分な物理 RAM が無い時は、( X ウィンドウシステムの様な)大量のメモリーを要求するアプリケーションはしばしばスワップ領域に引き継がれます。 訳注: 仮想 RAM に対応して、実際にマザーボード上に差してあるメモリーを物理 RAM (physical RAM) と言います。例えば16MBのメモリーを積んだマシンを使用しているとする。既に X ウィンドウが 10MB 使用しており、この状況で 10MB メモリーを使用するプログラム (A) を走らせたい。カーネルは X が占めている物理メモリーの部分で現在のところ必要ない部分 (B) をディスク上のスワップ領域に避難させる。空いた部分に (A) をロードし実行する。物理メモリーから追い出された (B) の部分が必要になると、カーネルは同様に、今現在必要にない部分を物理メモリーから探し出して、スワップに追い出し、(B) を読み込み実行する。このような仕組みで 16MB のシステムで計 20MB のプログラムを実行できる。このようなシステムを仮想記憶と呼びます。実際は、中途半端な領域をハードディスクとやり取りしていたのでは、効率が悪いので、オペーレーティングシステムはページという単位(普通は 4k バイト)で行います。できるだけ効率良くこの作業が実行されるようにカーネルを設計するのが、設計屋さん(もちろん Linux の場合は Linus 氏です)の腕の見せ所でもあります。しかし、物理メモリーとスワップでは100倍以上実行速度が異なる(DRAM が 50nsec に対して、ハードディスクは 20msec 位ですか)ので、スワップが頻回に起こると実行速度ががた落ちです。その場合は、CPU を取り替えるよりメモリーを増設した方が効率的です。その上、Linux では、使用されていない物理メモリーはキャッシュメモリーとして利用されるので、より実行速度が上昇します。 ほぼ全ての Linux ユーザーがスワップパーティションを使用しています。4メガバイト以下のメモリーしか積んでないのなら、ソフトウェアをインストールするのにスワップパーティションが要求されます。巨大なメモリーがない限り、スワップパーティションを作成する事をお勧めします。 スワップパーティションの大きさは、どの位仮想メモリーを必要とするかにかかっています。少なくとも16メガバイトの仮想メモリーを持つことが推奨されています。つまり、8メガバイトの物理メモリーがあれば、8メガバイトのスワップパーティションを作成しましょう。注意、スワップパーティションは128メガバイト以上の大きさであってはなりません。それ故、128メガ以上のスワップが必要なら、複数のスワップパーティションを作成しなくてはなりません。計16個までのスワップパーティションを持つことが可能です。 訳注: 実際のところ、物理メモリーの2倍程度が上限でしょう。16MB のシステムで 32MB、32MB ので 64MB でしょうか。前述のとおり、16MB のシステムでも 512MB のスワップを持つ事もできますが、プログラムを実行できても、実用にはならないでしょう。ハードディスクとカーネルの性能テストにしかならないでしょう。もちろん、必要がなければスワップは使用されませんので、あっても困らないでしょうが。 スワップ領域とディスクのパーティションに関する理論についての詳しいことは、The Linux Partition mini-HOWTO <http://sunsite.unc.deu/LDP/HOWTO/mini/Partition> で見つけられるでしょう。 註、少しばかりトリッキーであるが、2重ブートシステムにおいて Linux と Windows95 でスワップパーティションを共有出来ます。詳しいことは、The Linux Swap Space Mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Swap-Space> を見て下さい。 ヒント1:504MB を越えるパーティションを持つ EIDE ドライブを使用する場合、BIOS がそこにインストールされた Linux をブートさせることを許さないかもしれない。それ故、パーティションは 504MB より下に保つこと。SCSI ドライブコントローラーに関しては、通常そのボードに専用のドライブ BIOS を持っているので、問題となることはありません。技術的な詳細については、the Large Disk Mini-HOWTO <http://sunsite.unc.edu/LDP/HOWTO/mini/Large-Disk> も参照して下さい。 ヒント2:IDE と SCSI を混在させて使用しているかい?、それなら要注意。BIOS は SCSI ドライブから直接ブートさせることを許さないかもしれない。 5.4.2 パーティションのサイズを変更する。 root とスワップパーティションを別にして、ソフトウェアとホーム(home)ディレクトリを納める一つまたはそれ以上のパーティションを設定したいだろう。一方、理論的には、一つの巨大パーティションにすべてを入れてしまうことも可能です。もっとも、誰もやりませんが。複数のパーティションを持つことには、いくつかの利点があります。 ・立ち上げ時に行われるファイルシステムのチェックに要する時間を短縮できます。 ・ファイルはパーティション境界を越えて大きくなれません。それ故、(Usenet News の様な)巨大なディスク領域を食い潰すプログラムに対する防火壁としてパーティション境界は使用できます。それは、カーネルや他のアプリケーションに必要なファイルの空き領域に進入することを防ぎます。 ・いつかディスクにバッドセクターが生じたとすると、最初から全てをやり直すのに比べて、一つのパーティションをフォーマットしてデータを戻す方がはるかに楽です。 今日の大きなディスクに於いては、小さな root パーティション(80MB以下)、中ぐらいの大きさの /usr パーティション(おおよそ300MB位まで)そして、home ディレクトリ用の残りの部分を /home パーティションとするのが基本的に良い設定です。 もっと凝ったこともできます。例えば Usenet news を動作させるつもりなら、ディスクの利用できる最大限をその為に与えたいでしょう。又、/var パーティションをメール、ニュースそして一時ファイル(temporary file)等を一つまとめに作成することもできます。しかし、特に最初はできるだけシンプルにすることです。 5.5 インストールディスクで起動させる 最初のステップは作成したブートディスクでブート(起動)させることです。普通は、手を触れることなしに起動できます。起動カーネルのプロンプトが 10秒後にそれ自身に書き込みます。しかしカーネルの名前の後に引数を与えると、Linux カーネルが立ち上がる前に、様々なハードウェアのパラメーター(SCSI コントローラーの IRQ と番地、ドライブのジオメトリーといったこと)を指定できます。例えば SCSI コントローラーやハードディスクのジオメトリーを Linux が検出できない場合必要となります。 特に、多くの BIOS を持たない SCSI コントローラーは、ポートのアドレスと IRQ を起動時に指定してやる必要があります。同様に IBM PS/1、Think Pad や ValuePoint は CMOS チップにドライブのジオメトリーを保存しないので、起動時に指定しなくてはなりません。(後に、そのようなパラメーターを自動的に与えることができるように設定することが可能となるります。) システムが起動する時のメッセージに注目して下さい。Linux が検知したインストールしてあるハードウェアを羅列し、詳細について書き出します。特に、SCSI コントローラーを使用しているなら、検出された SCSI ホストのリストを見るべきです。以下のようなメッセージ SCSI: 0 hosts が表示されたら、SCSI コントローラーが検出されていません。そしてカーネルにそれがどこにあるかをどのように知らせるかを考え出さねばなりません。 そしてもちろん、システムはドライブのパーティションと検出されたデバイスの情報を表示します。これらの情報の一部でも間違っていたり欠けている場合、ハードウェアの検出を強制的に行わなければなりません。 一方、全てがうまく行き、ハードウェアが首尾良く検出されているようなら、次のセクション”ルートディスクをロードする”までスキップできます。 ハードウェアの検出を強制的に行うには、起動プロンプトの所で、適当なパラメーターを入力しなくてなりません。以下のような構文を使用して下さい。 linux <パラメータ...> そのような利用可能なパラメーターは山ほどあります。以下にその内の最も一般的なものの幾つかを並べておきます。最近の Linux のブートディスクは、起動する前にヘルプ画面でカーネルパラメーターの説明を表示するオプションをしばしば提供しています。 ・hd=シリンダー数、ヘッド数、セクター数 ハードディスクのジオメトリーを指定する。IBM PS/1、ValuePoint や ThinkPad の様なシステムに於て要求されます。例えば、ハードディスクが 683シリンダー、16ヘッド、32セクター/トラックだったとすると、 linux hd=683, 16,32と入力して下さい。 ・tmc8xx=memaddr,irq BIOS を持たない Future Domain TMC-8xx SCSI コントローラーのアドレスと IRQ を指定して下さい。例えば linux tmc8xx=0xca000,5 註。前に ox が付いている数字は16進数を示します。これは以下のオプションに於いても同じです。 ・st0x=memaddr,irq BIOS を持たない Seagate ST02 コントローラーのアドレスと IRQ を指定します。 ・t128=memaddr,irq BIOS を持たない Trantor T128B コントローラーのアドレスと IRQ を指定します。 ・ncr5380=port,irq,dma 一般的な NCR5380 コントローラーにポート、IRQ、DMA チャンネルを指定する。 ・aha152x=port,irq,scsi_id,1 BIOS の無い AIC-6260 コントローラーにポート、IRQ、そして SCSI ID を指定します。この指定 はAdaptec 1510,152xそして Sounblaster-SCSI コントローラーを含みます。 この起動時のオプションについて質問があれば、Linux SCSI HOWTO を読んで欲しい。SCSI HOWTO は Linux SCSIの 適合性についてより詳細に説明しています。 5.6 ブートディスクの使用方法 ブートディスクで起動させた後、ルート(root)ディスク(時により複数)を入れるように指示されます。この時点でフロッピードライブよりブートディスクを取り出し、root ディスクを入れてください。そして次へ行くために Enter キーを押します。2番目の root ディスクをロードさせる必要があるかもしれません。 ここで実際に起こっていることは次のようです。ブートディスクは RAM の一部を仮想ディスク(理論上 "ramdisk" と呼ばれる)として使用するミニ オペレーティング システムを提供します。(なぜなら、ハードディスクはまだ準備されていないから。) root ディスクはファイルとインストール用ツールの小さなセットをこの ramdisk にロードします。このツール類はハードドライブの準備を行い、CD-ROM から Linux をインストールします。 5.6.1 EGA または X よりのインストールを選択する。 古い Linux 達(Slackware を含む)は、この時点でシェルを提供します。そして、前もって準備された手順に従って手入力でインストールコマンドを入力するように要求します。この方法は現在でも可能です。しかし、新しい Linux ではスクリーン上で操作するタイプのインストールプログラムが動作することによって始まります。このインストールプログラムはこれらのステップを自在に動きまわり、且つ、たくさんのヘルプを提供しています。 X を用いた設定行えるオプションがあるかもしれません。そうだとするとインストールプログラムはグラフィカルに行えます。この道を選択したなら、インストールプログラムはインストール作業に取り掛かる前に、使用しているマウスとモニターを尋ねて来ます。もちろん Linux がインストールされた時点で、これらの設定は保存されます。モニターの性能は後で調整できるので、この時点では、基本的な SVGA 640 x 480 モードにセットするのが道理にかなっているでしょう。 X はインストールには必要ありません。しかし(マウスとモニターの設定をやったことがあると仮定すると)多くの人々にとってグラフィカル インターフェースは使用しやすい。そして何はともあれ、X を稼働させたいのなら、前もって試しておくことは意味のあることでしょう。 プログラムの指示に従って行くだけで結構です。そのプログラムは必要なステップ、ハードディスクの準備を行い、最初のユーザーアカウントを作成し、CD-ROM からソフトウェアのパッケージをインストールするといったことを実行してくれます。 以下の章では、手で入力しなくてはならないインストール作業の中でも間違えやすい場所について述べます。これによって読者が、インストールプログラムが何をやっているのか、そしてなぜなのかを理解するのに役立つでしょう。 5.6.2 fdisk と cfdisk の使い方 ルートディスク Linux が起動してしまえば、インストール作業で最初にやることは、ハードディスクのパーティションテーブルを作製し、編集することです。既に FDISK でパーティションの設定を行っていたとしても、今一度パーティションテーブルに戻り、Linux に特有な情報を挿入する必要があります。 Linux のパーティションを作成したり編集するためには、Linux バージョンの fdisk プログラムまたはスクリーン指向の兄弟 cfdisk を使用します。 一般的に言って、インストールプログラムは前もって存在しているパーティションテーブルを参照し、fdisk または cfdisk を走らせるように推奨して来ます。この2つの内、 cfdisk は明らかに使いやすい。しかし、現在のバージョンは、存在しなかったり、間違っているパーティションテーブルには多少弱い。 それ故(特に新品のハードウェアにインストールする際は)、cfdisk がそれを取り扱えるようにするのに fdisk で始める必要があることを発見するかもしれません。まず cfdisk を試して下さい。それで文句を言われたら、fdisk を走らせて見て下さい。(全てが Linux のシステムを組み上げるとして、存在しているパーティションの全てを削除する際に fdisk を使えと cfdisk が訴えるなら、それを実行した上で、空のパーティションテーブルを編集するために cfdisk を実行させるのは、良いやり方でしょう。) fdisk と cfdisk に応用できる少々の注意を。両者共に、Linux のパーティションを作成したいハードディスクの名前を引数として取ります。ハードドライブのデバイス名は、 ・/dev/hda は最初の IDE ドライブ ・/dev/hdb は2番目の IDE ドライブ ・/dev/sda は最初の SCSI ドライブ ・/dev/sdb は2番目の SCSI ドライブ 例えば、システム上の最初の SCSI ドライブに Linux パーティションを作成するためには、次のようなコマンド(インストールプログラムはメニュー選べるようになっているかもしれないが)を使用して下さい。 cfdisk /dev/sda fdisk または cfdisk を引数なしに使用すると、/dev/hda を使用したと仮定します。 Linuxパーティションをシステムの2番目のハードディスクに作成したいなら、fdisk を走らせる際に、/dev/hdb(IDEドライブなら)または /dev/sdb(SCSIドライブなら)のいずれかを使用して下さい。 Linux のパーティションを全て同じドライブに持つ必要はありません。例えば、ファイルシステムを /dev/hda 上に、swapパーティションを /dev/hdb 上に作成したいかもしれません。そうする為には、それぞれのドライブに fdisk、又はcfdiskを実行させて下さい。 Linuxでは、パーティションにはそれが属しているドライブに基づいた名前が与えられます。例えば、/dev/hda 上の最初のパーティションは /dev/hda1、2番目は /dev/hda2 といったようになります。論理パーティションがあれば、それらは、/dev/hda5 から始まり、/dev/hda6 というように上がって行くでしょう。 注意。Linux 以外のオペレーティングシステム用のパーティションを、Linux の fdisk や cfdisk で作成したり削除してはなりません。即ち、このバージョンの fdisk を用いて MS-DOS のパーティションを作成したり削除しないで下さい。その代りに、MS-DOS バージョンの FDISK を使用すること。Linux の fdisk で MS-DOS のパーティションを作成しようとすると、MS-DOS がパーティションを認識しなかったり、正しく起動しない場合があります。 ここに fdisk の使用例があります。ここで、ドライブ上に 61693 ブロックを使用している一つの MS-DOS パーティションがあり、残りが Linux の為に空いているとします。 Linux では、1ブロックは 1024 バイトです。従って、61693ブロックは約61メガバイトになる。)このチュートリアルの例として、root と swap の2つのパーティションのみを作成してみましょう。以前に推奨された通り、4つの Linux パーティション(swap、root ファイルシステム、システムソフトウェアと home ディレクトリにそれぞれ一つずつ)に拡張したいことでしょう。 まず最初に、現在のパーティションテーブルを表示する為に、"p" コマンドを使用します。見た通り、/dev/hda1(/dev/hda の最初のパーティション)は 61693 ブロックの DOS パーティションです。 Command (m for help): p Disk /dev/hda1: 16 heads, 38 sectors, 683 cylinders Units = cylinders of 608 * 512 bytes Device Boot Command (m for help): p Disk /dev/hda: 16 heads, 38 sectors, 683 cylinders Units = cylinders of 608 * 512 bytes Device Boot Begin Start End Blocks Id System /dev/hda1 * 1 1 203 61693 6 DOS 16-bit >=32M Command (m for help): 次に新しいパーティシションを作成する為に"n"コマンドを使用します。Linuxの root パーティションは80メガの大きさになります。 Command (m for help): n Command action e extended p primary partition (1-4) p ここで、extended(拡張)か primary パーティションのどちらを作成するか尋ねられます。一つのドライブ上に4つを越えるパーティションを必要としない限り、多くの場合 primary パーティションを使用します。詳細については、前述の”再パーティション”の章を参照して下さい。 Partition number (1-4): 2 First cylinder (204-683): 204 Last cylinder or +size or +sizeM or +sizeK (204-683): +80M 最初の cylinder は最後のパーティションが終わった後の cylinder でなくてはなりません。この場合、/dev/hda1 は 203 cylinder で終わっています。それ故、新しいパーティションは 204 cylinder から始まります。 見ての通り、"+80M" という表記を使用すると、80M の大きさのパーティションを指し示します。また、"+80K" は 80K バイトのパーティションを示します。そして、"+80" はたった 80 バイトのパーティションを示します。 Warning:Linux cannot currently use 33090 sectors of this partition 警告:Linux は現在のところ、このパーティションの33090セクターは使用できない。 この警告が出た場合、それを無視して結構です。Linux のファイルシステムがたった 64メガバイトの大きさしか取り扱えなかった頃の古い制限が取り残されているだけです。しかしこれはもはや当てはまらず、新しい形式のファイルシステムでは、最大4テラバイトのパーティションが使用可能です。 次に10メガバイトの swap パーティション /dev/hda3 を作成しましょう。 Command (m for help): n Command action e extended p primary partition (1-4) p Partition number (1-4): 3 First cylinder (474-683): 474 Last cylinder or +size or +sizeM or +sizeK (474-683): +10M 再びここで、パーティションテーブルを表示させましょう。ここに表示されている情報、特にそれぞれのパーティションのブロックの大きさをを書き留めておいて下さい。後に、この情報が必要になります。 Command (m for help): p Disk /dev/hda: 16 heads, 38 sectors, 683 cylinders Units = cylinders of 608 * 512 bytes Device Boot Begin Start End Blocks Id System /dev/hda1 * 1 1 203 61693 6 DOS 16-bit >=32M /dev/hda2 204 204 473 82080 83 Linux native /dev/hda3 474 474 507 10336 83 Linux native Linux swap パーティション(ここでは /dev/hda3)が "Linux native" の型を持っている事に注目しよう。インストールプログラムがそのように認識するように、swap パーティションの型 を"Linux swap" に変更する必要があります。これを行う為に、fdisk の "f" コマンドを使用します。 Command (m for help): t Partition number (1-4): 3 Hex code (type L to list codes): 82 型のコードのリストを表示させる "L" コマンドを使用すると、82 が Linux swap の型を意味する事が解るでしょう。 fdisk を終了しパーティションテーブルの変更をセーブするには、"w" コマンドを使用します。変更をセーブせずに終了するには、"q" コマンドを使用します。 fdisk を終了した後、この変更がきちんと有効になるようにシステムはリブート(reboot、再起動)するように言ってくるかもしれません。一般的に言って、fdisk を使用した後にリブートする理由はありうません。最新の fdisk と cfdisk は再起動することなしにパーティションをアップデートするようなおりこうさんに出来ています。 5.6.3 パーティションの後のステップ パーティションテーブルを編集した後は、インストールプログラムはそれを見て、swap パーティションを有効にすると申し出ます。"yes" と答えて下さい。 (なんで自動的にやらないんだという疑問が湧いて来る。2重ブートシステムを使用していて、Linux じゃないパーティションの1つを swap だと勘違いする可能性を除く為さ。) 次にインストールプログラムは、Linux ファイルシステムに随伴する(/、/usr、/var、/tmp、/home、/home2 等々、という様な)を使用する予定の swap パーティション以外のを尋ねてきます。 そこにはたった一つの厳重な規則があるだけです。"/" と名付けられかつ、起動可能な root ファイルシステムがなくてはなりません。他の Linux パーティションには好きな名前を付けて構いません。しかし、名付け方にはいくつかの慣例があります。そうすれば、後の Linux ライフは単純になるでしょう。 前に述べたとおり、小さな root、中規模の大きさのシステムーソフトウェア、そして大きなホーム(home)ディレクトリ のパーティションを含む基本的な3つのパーティションを設定を推奨します。伝統的にこれらは、/、/usr そして /home と呼ばれています。この非直感的な '/usr' という名前は、かつて(より小さな)Unix システムが一つの root 以外のパーティションにシステムソフトウェアとユーザーのホームディレクトリを持っていた頃の歴史的な名残です。いくつかのソフトウェアはそれに依存しています。 1つ以上のホームディレクトリ領域を持つ場合、伝統的な名付け方は、/home、/home2、/home3 という具合です。2つのハードディスクがある場合、こうなるかもしれません。例えば、著者のシステムでは、現在のレイアウトはこんな具合です。 Filesystem 1024-blocks Used Available Capacity Mounted on /dev/sda1 30719 22337 6796 77% / /dev/sda3 595663 327608 237284 58% /usr /dev/sda4 1371370 1174 1299336 0% /home /dev/sdb1 1000949 643108 306130 68% /home2 2番目のディスク(sdb1)は本当は全て /home2 ではない。sda と sdb 上の swap パーティションはこの表示では示されていません。 /home には大きな空き領域があり、/home2 は sdb のユーザー領域であることが判るでしょう。 scratch(書きなぐり?メモ)、spool(印刷用の一時ファイル)、temporary(一時ファイル)、メールそしてニュース用のパーティションを作成したいなら、それを /varを作成して下さい。そうしない場合は、/usr/var を作成し、/var と名付けられたそれを逆参照するシンボリック リンクを作成して下さい。(インストールプログラムはこれを代ってやってくれるかもしれない。) 5.7 ソフトウェア パッケージのインストール パーティションの準備が終わったなら、インストール作業の残りの部分はほぼ自動的に行われます。( EGA 又は X に基づいた)インストールプログラムは、CD-ROM からインストールするもの、使用するパーティションそういった事を一連のメニュー形式で指定し、案内してくれるでしょう。 この段階のインストール作業について多くの事を述べるつもりはありません。配布形式ごとに最も異なる部分の一つであるが(配布会社がここに価値を付加している)、最も単純な部分でもある。そしてインストールプログラムは、オンースクリーン ヘルプを備えた説明形式となっています。 5.8 パッケージのインストールの後 インストールが完了した後、そして上手く行ったのなら、ハードディスクから最初に立ち上げる前に、インストールプログラムはシステムを設定するためのいくつかのオプションをうろつき回るでしょう。 5.8.1 LILO, the LInux LOader LILO(LInux LOader を表す)はハードディスクから、Linux(同様に MS-DOS の様な、他のオペレーティングシステム)を立ち上げさせます。 ハードドライブに LILO をインストールする際に、オプションを与える機会を与えられるでしょう。OS/2 を動作させているのでない限り、"yes" と答えて下さい。OS/2 は特殊な設定が要求される。以下の”慣例の LILO の設定”を見て下さい。 LILO を最初のローダーとしてインストールすると、別の起動用のフロッピーディスクは不要となります。その代わり、起動する度にどの OS を立ち上げるかを LILO に指示できます。 5.8.2 起動用のフロッピーディスクを作成する(オプション) ”標準の起動ディスクを”作製する機会が与えられています。それは、新たにインストールされた Linux として立ち上げるのに使用されます。(通常 DOS を起動させるのと比べてみると、このやり方は古くかつ不便なでり、Linux をスタートさせる為に起動ディスクが必要である。) この為には、空の高密度 MS-DOS でフォーマットされた(システムに使用されているタイプの)フロッピーディスクが必要です。指示がでた際に、単にフロッピーを挿入すれば、起動フロッピーディスクが作成されます。(これは、インストール用の起動ディスクとは同じではありませんし、互いに代用はできません。) 5.8.3. 種種雑多のシステム設定 インストール作業の後の手続きには、システムを設定する為のいくつかのメニューがあります。この中には、モデムやマウスそしてタイムゾーンを設定するという事柄が含まれています。メニューのオプションに従がって下さい。 更に、ユーザーアカウントを作成したり、root (管理者)アカウントのパスワードを設定する事を促すでしょう。これはちっとも複雑ではありません。通常は単に画面上の操作方法の指示に従っておれば良いでしょう。 6. 新しいシステムを起動させる 計画通りに全てがうまく行ったなら、LILO を使用してハードディスクから Linux を起動させる事ができるでしょう。あるいは又、Linux の起動フロッピー(最初のブートフロッピーではなく、ソフトウェアをインストールした後で作成した奴だ)より起動できるでしょう。起動した後、root でログインして下さい。おめでとう! これであなた専用の Linux システムが完成しました。 LILO を使用して立ち上げたなら、起動時にシフト (shift) 又はコントロール(control)キーを押し続けてみて下さい。これにより起動用のプロンプトが現れます。タブキーを押してオプションの一覧をみて下さい。この方法で、Linux、MS-DOS 又はどんなもんでも LILO から直接起動できます。 7. 最初の起動の後で ハードディスクから起動した直後の、新しい Linux のログインプロンプトを眺めていることだと思います。おめでとう! 7.1. システム管理の始め どのようなインストール過程を経て来たかによるが、アカウントを作成したり、ホストネームを変更したり、X の(再)設定がこの段階で必要となるでしょう。バックアップデバイス、インターネットプロバイダーと接続する SLIP/PPP といった事を含む、システムを組み上げための設定する事が山ほどあります。 UNIX のシステム管理についての良い本が手助けになるでしょう。(著者は、O'Reilly and Associates より出版されている Essential Systems Administration を勧めます。)必要に応じて内容を拾い上げていけば良いでしょう。他の様々な Linux HOWTO、例えば、NET-2-HOWTO や Printing-HOWTO を、より多くの情報を得るためや設定の為に読むべきでしょう。 7.2. カスタム LILO の設定 LILO は起動用のローダーです。それは、起動時に Linux や MS-DOS 或いは他のオペレーティングシステムを選択するのに使用されます。インストール過程で自動的に LILO を設定してくれたかもしれません。(OS/2 を使用しないのであれば、これがなすべき事です。)そうなら、この章の残りの部分を飛ばしても良いでしょう。 最初の起動用のローダー(primary boot loader)として LILO をインストールしたなら、ハードディスク上の全てのオペレーティングシステムの為の第一段階の起動プロセスとして取り扱われます。インストールしたオペレーティングシステムが MS-DOS だけだったら、これはちゃんと働きます。しかし OS/2 を動作させたい場合は別です。それは、専用の起動マネージャー (Boot Manager) を持っています。この場合、OS/2 の起動マネージャーを最初の起動用のローダーに置きます。そして(2番目の起動ローダーとして)Linux を起動させる為に LILO を使います。 LILO をマニュアルで設定しなくてはならないとしたら、/etc/lilo.conf ファイルを編集する必要があります。以下に LILO の設定ファイルの例が示されています。そこでは、Linux の root パーティションが /dev/hda2 に、MS-DOS が /dev/hdb1(2番目のハードディスク)にあります。 # Tell LILO to install itself as the primary boot loader on /dev/hda. # /dev/hda の最初の起動用のローダーに LILO をインストールするようにする boot = /dev/hda # The boot image to install; you probably shouldn't change this # インストールする起動イメージ;恐らくこれを変更する必要はない install = /boot/boot.b # The stanza for booting Linux. # Linux が起動中に表示される一連の節 image = /vmlinuz # The kernel is in /vmlinuz label = linux # Give it the name "linux" root = /dev/hda2 # Use /dev/hda2 as the root filesystem vga = ask # Prompt for VGA mode append = "aha152x=0x340,11,7,1" # Add this to the boot options, # for detecting the SCSI controller # The stanza for booting MS-DOS other = /dev/hdb1 # This is the MS-DOS partition label = msdos # Give it the name "msdos" table = /dev/hdb # The partition table for the second drive 一度 /etc/lilo.conf ファイルを編集したなら、root として /sbin/lilo を実行して下さい。これはドライブ上に LILO をインストールする。注意:起動用のローダーに正しい位置を指し示す為にカーネルを再構築した場合は、必ず /sbin/lilo を再実行すること。(今のところ思い悩む必要はないが、心に留めておいて下さい。) 注意:/etc/lilo.conf の中でブートディスクを立ち上げた時のように、起動パラメーターを指定する付加 (Append) オプションを使用する。 これで、ハードディスクからシステムを再起動できるようになりました。デフォールト(標準の設定)では、LILO は設定ファイルの中に最初にリストされているオペーレーティングシステムを起動させます。この場合それは、Linux です。起動メニューを表示させる、あるいは他のオペレーティングシステムを選択するには、システムが起動する際に、シフト又はコントロールキーを押し続けると、このようなプロンプトが現れます。 Boot: ここで起動するオペーレーティングシステムの名前(設定ファイルのラベル行で与えられます。この場合、linux 又は msdos の何れか)を入力するか、リストを表示させるには、タブキーを押します。 さあここで、LILO を2番目の起動ローダーとして使用したいとする。例えば、OS/2 の起動マネージャーから Linux を起動させたいとしよう。OS/2 の起動マネージャーから Linux のパーティションを立ち上げるには、不幸な事に、( Linux のでなく)OS/2 の FDISK を使用してパーティションを作成しなくてはなりません。そして、OS/2 が知っている FAT か HPFS としてパーティションをフォーマットしなくてはなりません。(それが IBM 方式だ。) OS/2 のブートマネージャーから Linux を LILO を用いて起動させるには、Linux の root ファイルシステム(上記の例では、/dev/hda2 )上に LILO をインストールするだけです。この場合、LILO 設定ファイルはこんな具合になります。 boot = /dev/hda2 install = /boot/boot.b compact image = /vmlinuz label = linux root = /dev/hda2 vga = ask ブート行の変更に注意して下さい。/sbin/lilo を実行した後は、起動マネージャーに Linux パーティションを付け加えることができます。このからくりは他のオペレーティングシステムで使用されている起動ローダーでも同様に働くでしょう。 8. 文書の管理 8.1. 制限事項 この文書の著作権1996は Eric S. Raymond にあります。使用、配布、複製は自由に行って結構です。この文書はあなたに提供されています。 ただし、 ・この著作権の注意を削除したり改変してはならない。 ・バージョン番号および日付を削除または変更してはならない。 ・現在のWWWバージョンへの文書のポインターを削除又は変更してはならない。 ・要約、改変または翻訳等については明記すること。 これらの制限は、気が抜けたり台無しにされた版から潜在の読者を守る事を意図している。例外とした方が良い場合があったらは、著者まで連絡して欲しい。 8.2. 謝辞 絶大なる謝辞を Mr. Matt D. Welsh に送る。彼がこの HOWTO を始めた。著者は Slackware に特化した内容の大部分を取り除き、そして、残りの CD-ROM インストールに関した文書に焦点を当てた。しかし内容のかなりの部分は依然として彼の功績によっている。 4.1版は、David Shao <dshao@best.com> から寄せられたいくつかの助言により相当改良されました。 訳注:最後に JF (Japanese FAQ) プロジェクトでは、様々な HOWTO, mini-HOWTO 等の翻訳も行っております。原文に示されている HOWTO, mini-HOWTO もそのほとんどが翻訳済みですが、その WWW を示すポインターは、原著者の指示により変更できません。CD-ROM 等にも収録されていますが、最新版はJFの里 <www.JF.gee.kyoto-u.ac.jp> をご覧になって下さい。