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2. 必要となる知識

2.1 IP マスカレードとは何か

IP マスカレードとは、Linux で開発中のネットワーク機能です。 IP マスカレード機能を持った Linux ホストがインターネットに接続されていれば、 そのホストに(同一 LAN 上で、あるいはモデムによって)接続しているコンピュータが 公式に割り当てられた IP アドレスを持っていなくても、 インターネットを利用することができるのです。

2.2 現在の状況

IP マスカレードは、まだ実験段階にありますが、1.3.x 以降のカーネルには、すでに サポートが組み込まれています。 Web ページの閲覧や telnet 接続は、IP マスカレード上でうまく動作することが 報告されています。FTP や IRC、それに Real Audio の再生も、モジュールを ロードすることによって可能です。 True Speech や Internet Wave など、その他のネットワークストリーミング オーディオも動きます。 テレビ会議ソフトウェアを試してみたメーリングリストのユーザーもいます。

Ping はまだ動いていません。IP マスカレードは、TCP と UDP にしか 機能しないからです(ポートナンバーが必要)。 元になる TCP または UDP パケットに関する情報を含んだ ICMP パケットについては 機能しますが、ポートデータを含まない ICMP パケットには機能しません。 例えば、traceroute はだいじょうぶですが、ping はだめです。

サポートされているソフトウェアについては、4.1 節を参照して下さい。

IP マスカレードは、各種の OS やプラットホームの「クライアントマシン」との 組合せで良好に動作します。 Unix、Windows 95、Windows NT、Windows Workgroup (TCP/IP パッケージが必要)、 OS/2、Mac TCP の載ったマッキントッシュシステム、NCSA Telnet パッケージの 載った DOS、VAX、Linux の載った Alpha、それに AmiTCP または AS225 スタック の載った Amiga でも動作が確認されています。

2.3 IP マスカレードが有用な場合

2.4 IP マスカレードが必要ない場合

2.5 どのようにして IP マスカレードは動作するか

Ken Eves 氏の IP マスカレード FAQ から引用します。

  これはもっとも簡単な構成図です。

     SLIP/PPP         +------------+                         +-------------+
     to provider      |  Linux     |       SLIP/PPP          | Anybox      |
    <---------- modem1|            |modem2 ----------- modem |             |
      111.222.333.444 |            |           192.168.1.100 |             |
                      +------------+                         +-------------+

    上の図で、IP マスカレードが組み込まれて動作している Linux マシンは、
  modem1 によって SLIP または PPP 経由でインターネットに接続されています。
  このマシンには 111.222.333.444 という IP アドレスが割り当てられています。
  また、modem2 からこのマシンにログインして、SLIP または PPP 接続が開始
  できるように設定されています。

    二つめのシステム(Linux が動いている必要はありません)は、Linux マシンに
  電話をかけ、SLIP または PPP 接続を開始します。このマシンはインターネット
  上に割り当てられた IP アドレスをもっていないため、192.168.1.100 という
  IP アドレスを使います(下記参照)。

    IP マスカレードとルーティングの設定が適切であれば、マシン Anybox は
  インターネットに本当に接続されているのと同じように振舞うことができます
  (いくつかの例外はありますが)。

Pauline Middelink 氏からの引用:
  Linux マシンを ANYBOX のゲートウェイとして設定しなければならないことを
  書き忘れないで下さい。これができない場合には、Linux マシンはすべての
  ルーティングされたアドレスについて代理 arp をしなければなりませんが、
  代理 arp の設定はこの文書の範囲外です。

次にあげるのは comp.os.linux.networking からの抜粋で、上の例に合わせて
名前を書き換えたものです。
   o ANYBOX に Linux マシンがゲートウェイだと教えておきます。
   o ANYBOX から Linux マシンへパケットが届いた時、新しいポート番号が
     割り当てられ、パケットヘッダの IP アドレスが Linux マシンのアドレスに
     書き換えられます。元のポート番号とアドレスは別に保存されます。
     変更されたパケットは、SLIP または PPP インターフェースを介して
     インターネットへ送られます。
   o パケットがインターネットから Linux マシンへ届いた時、ポート番号が
     上で割り当てたものであった場合には、元のポート番号と IP アドレスを
     パケットヘッダに書き戻し、パケットは ANYBOX に送られます。
   o パケットを送るホストは、全く違いに気付きません。

2.6 IP マスカレードを Linux 2.x で使うための必要条件


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